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熊本の路面電車事業者、地元商店街、地元NPOの方々とお話ししてきました。

1)事業者である市交通局の局長と地元NPOの方との話合いに同席し、交通局の方が非常に利用者の立場にたった発言をすることが印象に残りました。途中、国内初導入で有名な超低床車の運用不良を改善することについてNPO側が建設的な提案を示した際の局長の反応もよく、局舎は木造の古い建物だったものの、ずいぶんと我が職場に対して誇りを持っている、という印象を受けました。

2)地元商店街を支える若手グループのリーダーとNPOの人たちとの顔合わせにも同行しましたが、そこでは地元の人たちも好意的でNPOの人たちの活動がよく認知されている、という雰囲気がありました。

3)途中、地元若手グループとNPOとのあいだを取り持った若手の方が、熊本の地域ナショナリズムに訴えかけるために「(同じ路面電車の愛好支援団体が強力で電車事業者も活発な)岡山から喧嘩を売られた」という筋書き(=うそ)で地元の若手グループを焚き付けよう、という発言には地域アイデンティティと地域ナショナリズムとの微妙な関係を感じました。

4)直感で区別しますが、事実を積み上げて優れたところは積極的に宣伝することでムーブメントと求心力を育む「地域アイデンティティ」と、事実か事実でないかよりもムーブメントを起こすことを目的に求心力を生む「地域ナショナリズム」との差、と感じました。

5)急進的なぶん「地域ナショナリズム」では運動の質を高めることに十分な手間とヒマとをかけることなく結論を出しやすいのではと考えましたが、これは従来「地域アイデンティティ」の模索で行政などが予算を不当に多くつけることで内部的な成熟のないまま地域アイデンティティの表出であるロゴやサイン、環境彫刻を作ってしまったような時にも生じている現象だな、とも思いました。

6)後知恵かもしれないけれども、それはデザイン欠如の状態であり、洗練された地域のアイデンティティを生み出すためには、じっくりと時間をかけた試行錯誤や、デザインを用いることが不可欠なのではないか、と感じました。

7)デザインが用いられることで地域アイデンティティの質を高める、というプロセスがみえ、このことが言えるかどうかを明らかにすることについても興味が生じました。

(「ぎふみらいつうしんきょく」0033より) 

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岐阜未来研究団'99
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