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●路面電車技術のディテール

現代の路面電車に関係する現代的な細部について、在来の用語を含めて現状を実例とともに示す。


●連節車



 2両式バスのように複数の車室(カーゴ)が節の構造を伴っていくつか連なり、一つの車両を形成する車のことを連節車と呼ぶ。一般に台車と連結部が一体となった構造が特徴。

 都市の基幹的公共交通機関として中量の輸送を担うのにふさわしい容 積(定員200名〜300名程度)を、一体的な機械的電気的構造をもつことにより比較的小さな体積のなかに作り出すことができる。また、運用上の経費、とくに「運転士の人件費」対「乗客数」で小規模な車両に比べ優 れる。

 そのほか、台車軸が車端部に位置することからカーブの際に外側への 振りがなく、内側への車体中央部の入り込みだけが生じることになる器械的な特徴をもつことから自動車交通との共存が設計しやすい面もあ る。

 別の視点では、視覚的に一体感があり中量輸送機関としての安定感、 信頼感を自ずとアピールできる。

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●低床車

 体の弱い人や障害をもつ人など、ハンディキャップをもつ人達にとって、乗降の際に最も厄介なのが、道路と車内床面との段差である。低床車は、これを少しでも小さくする為に車内の床をできるだけ低くし、物理的にも気持ち的にも使いやすく設計された車両である。

 公共交通機関に求められる「バリアフリー」の考え方に少しでも近づくために技術が注がれており、文字通り在来型に 比べ十センチ単位で床面を低くしている。日本では、バスに導入事例がよくみられるが、路面電車にもその考え方が取り入れられ始めている。

 一般に車内の床下には列車を動かす台車や装置が収められていて、これを取り除くのは仕組み上困難だったものを、最近の機器類の小型化のおかげでそれらを天井に乗せることが可能となり、小さい径の台車を使うこととあわせて機器レイアウトの変更や工夫がしやすくになり実用化されてきている。無軸台車と呼ばれる独立牽荷の車輪など新技術の開発も為されていて、快適な乗降が可能となる新しい電車誕生への条件が整ってきた。

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●トラムトランジットモール


 都心部の商店街や歓楽街は、歩くために組み立てられていて本質的に 自動車中心の生活スタイルとは相容れない。路面電車と歩行者の街路を つくって、ひとが街とゆったり付き合う姿を実現する考え方である。周 囲に商店の街並が広がり乗降客はスムーズにショッピングを楽しめる。

 「自動車交通をどう対策するのか」「自動車遮断の不具合の程度は」との 疑問に即座に回答を与えにくいが、実は欧米(とくに中小都市の都心部 がモータリゼーションの波に押されたアメリカ各地)で都心部再活性化 の手法として頻繁に導入されている。

 事例をよく見るとモールのハード単体としてより、他交通との連携や 個人運賃低減などソフト面を重視した総合的な施策によって円滑な状況 の実現を図っている。こういったシナリオを準備しなければならない。

 路面電車が一見「不便な存在」であることが、逆に人のリズムにゆとりを与え、「自動車は便利で不便」という回答を明快に与えている事に注 目したい。

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●トロリーバス


 電気バスであり、無軌道電車でもあるトロリーバスが、 欧米の街では比較的よく常用されている。集電部品であるトロリーポールは2本ならんで変幻自在に電線(トロ リー線)に吸い付き、電気をもらってバス状の「電車」を 走らせる。都心部の空気を汚さない点で路面電車と同等の意義をもつ。

 器械的には、路面電車と比べて地上設備のうち、軌道 に相当する施設が不要な反面、架線は「複線」となりやや複雑になる。街によってバスとまったく差別のない運 行をしたり、バスとは別格に扱ったりと、扱いは地域交通の特性にあわせて分けている。

 どうしても路面電車の様なシンボル性に欠ける面があ り、機能的な差異から一般バス路線と運用上差別を図ることができる条件が揃っていても、基幹路線としての性 格をきちんと表わすためのサインや周辺設備によって路線の存在を印象づけないと効果が半減してしまう。その ためのアピールが不可欠となる。

※シンボル性は、実用上無意味にみえて、実は関わるあらゆる人の行動や発想の起点とな る力を秘めているという意味で街作りの上で大切なポイントとなっている。

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●路線復活


 欧米では、廃止された路面電車路線網を必要を計って改めて敷き直し、路面電車復活の事業を行う都市が多数みられる。 公害に対する市民の意識が高いことから対燃料のコストに優れ、都心で大気汚染も引き起さない路面電車への理解は得や すい点があるが、他方、歩いて街並と触れるモール再生への関心も強く、行政も都心での自動車締め出しの合意を粘り強 く獲得するなど、地域交通体系全体に対する総合的な対策についての意識の高さがある。「公共交通のメリット、自動車中心の交通体系の見直し」が街づくりへのビジョンとセットで語られることから、理解の裾野が広がりやすいのだろう。

 路面電車のシンボル性の強さとそれに負けない実用上の特長が、街づくりの立役者としての評価につながっている。言 い替えるなら、「路面電車のもつ有利さの要素」が形を変えて「街づくりで不可欠の要素」として生かされ始めたというこ とだろう。

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●アンダーパス


 欧米、とくにドイツで一昔前に多用された手法で、都心に於ける路面 電車の高速化、および自動車渋滞緩和に効果を発揮する面を評価し、採 用されてきた。重点的に流動を確保する必要がある場所などで路面電車 を地下に潜らせてスムーズな相互交通を実現する。

 反面、距離あたりの建設費が嵩む上、地下部分が大きくなるほど路面電車の特長である気軽、手軽に乗降できる点が無効になる。

 交通の一部がスムーズになっても、渋滞は「面的な現象」であるの で、全体の流動を考えた場合にむしろ効果が薄く、この手法を用いるなら、むしろ電車自体の定時性確保のためにスポット的に使用する、と云ったことに意義を見い出す程度だといえる。

 現在ヨーロッパ、とくにドイツの多くの場面でみられるこの手法は、 実は当地ではすでに非主流となっているという。

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